📰 2025年5月のワクチン関連主要ニュース

5月5日:CHDがCDCを提訴、子どもへのワクチン推奨に科学的根拠欠如と主張

Children's Health Defense (CHD) がCDCを提訴。CDCの子ども(生後6ヶ月以上)へのCOVID-19ワクチン推奨は科学的根拠に欠け違憲だと主張。

  • 原告医師の状況: メディケイド患者を診る医師が推奨に従わずプログラムから除名、診療所閉鎖。
  • CHD側の主張:
    • 健康な子どもへの臨床的利益は証明されていない。
    • VAERSには他の全小児用ワクチンの過去30年分より多くの重篤な有害事象が記録。
  • 訴訟内容: メディケイド加入児への実質的ワクチン強制は憲法違反であり、医師の専門的判断を奪うとして推奨差し止めを要求。

5月5日:スペイン研究、妊婦のワクチン接種で流産リスク増加の可能性を示唆

スペインの研究で、COVID-19罹患中の妊婦においてワクチン接種群で未接種群より高い流産率が観察されたと報告(査読研究)。

  • 研究結果:
    • 接種妊婦(45人中6人、13.3%)が未接種妊婦(111人中5人、4.5%)より有意に高い流産率。
    • 接種群の流産の大半は妊娠前期・中期に発生。
  • 研究者の結論: ワクチン接種群は肺炎等の発生率が低かったとし、総合的に「妊婦へのワクチン有効性と安全性を裏付ける」と結論。
  • 専門家の指摘: 著者らが流産リスクに深く言及せずメリットを強調した点に疑問の声。詳細な解析と追加研究が必要。

5月5日:ファイザー製ワクチン接種者の全死因死亡率増加との研究結果(プレプリント)

米フロリダ州の公衆衛生データを用いた大規模研究で、ファイザー製ワクチン2回接種者はモデルナ製ワクチン2回接種者に比べ、12ヶ月以内の全死因死亡率が有意に高かったと報告。

  • 研究対象: 約147万人(各ワクチン約73.5万人をマッチング)を追跡。
  • 結果:
    • 12ヶ月間の死亡率: ファイザー群 847.2人/10万人 vs モデルナ群 617.9人/10万人(約1.37倍)。
    • 心疾患死亡、COVID-19死亡もファイザー群が有意に高リスク。
  • 研究者の指摘: 「2種類のmRNAワクチンの非特異的効果の差異、全死亡・心血管死亡への有害影響の可能性」を示唆。ワクチン評価には全死亡などの考慮を強調。

5月12日:米空軍予備役士官、ワクチン宗教免除訴訟で実質的勝利

米空軍予備役大尉がワクチン接種義務の宗教的免除を求めた訴訟で、事実上の勝利。訴訟中の仮処分により在職中のワクチン強制と処罰を免れた。

  • 経緯:
    • 2021年: 信仰上の理由で接種拒否、停職処分となり提訴。
    • 2022年3月: 連邦地裁が処分差し止めの仮処分命令。集団訴訟も認定。
    • 2022年末: 議会が国防総省に接種義務撤回を命令。
    • 最高裁が訴えを「モート(争点解消済み)」として差し戻し。
  • 控訴審判決(5月12日): 失った給与等の損害賠償請求は「連邦政府の主権免責」により棄却。しかし、仮処分により実質的に保護された。
  • 意義: 米軍内の宗教的接種拒否問題で画期的。同様の集団訴訟では空軍への接種義務差し止めが継続中。

5月13日:カンザス州、ファイザー社への虚偽広告訴訟を州裁判所で継続へ

カンザス州司法長官がファイザー社を提訴した虚偽広告訴訟(ワクチンの有効性・安全性に関する誤解を招く宣伝)が、州裁判所へ差し戻される決定。州側に有利な展開。

  • 訴訟内容: ファイザー社が妊娠中の合併症や心筋炎リスクの兆候を把握しながら情報を伏せ、「安全で有効」と宣伝したと主張(州消費者保護法違反)。
  • 経緯:
    • 2024年6月: カンザス州が州裁判所に提訴。
    • ファイザー社は連邦裁判所への移管を画策。
    • 5月14日: カンザス連邦地裁が州裁判所への差し戻しを決定。
  • 司法長官の声明: 「ファイザー社の遅延戦術に終止符。カンザス州民に正義を取り戻す第一歩」。ファイザー社は争う構え。

5月20日:FDA、Novavax製ブースターを高齢者等限定で承認、ブースター政策転換

FDAがノババックス社製ワクチンを65歳以上の高齢者および12~64歳の基礎疾患保有者に限定して承認。米国のブースター接種政策が高リスク層に絞る方向へ転換。

  • Novavax承認詳細:
    • 初の制限付き承認。心筋炎・心膜炎の継続的モニタリング研究を要求。
    • 専門家諮問委員会の審議なし(FDA「重大な懸念なし」)。
  • ブースター政策転換:
    • FDA幹部が「65歳未満の健康な人への年次ブースター承認には新たな臨床試験データが必要」と発表。
    • 若年健常者への年次追加接種の利益は不確かとの認識。
    • 新ガイドライン: 健康な6ヶ月~64歳への年間ブースター承認にはプラセボ対照試験データを要求。
  • 影響と懸念: 健康な若年層が保険でブースターを受けられない可能性、接種率低下による流行拡大リスクの声も。

5月21日:米上院公聴会で「心筋炎リスク隠蔽」追及(ロン・ジョンソン議員主導)

米上院調査小委員会が、保健当局によるCOVIDワクチンの心筋炎等の有害事象過小評価・隠蔽疑惑に関する公聴会を開催。

  • ジョンソン議員の主張:
    • 前政権下の保健当局が若年男性の心筋炎リスクを認識しながら、懸念を意図的に矮小化し警告を遅らせたと非難。
    • CDCとFDAが2021年春に心筋炎との関連を把握しながら、全国警報を出さずウェブサイト更新のみで対応したのは「職務放棄」。
  • 公聴会での証言:
    • 医師ら: 当時の警告があれば早期発見に繋がった可能性。心筋炎以外の有害事象情報も把握しながら警告を怠った。
    • ワクチン被害者支援団体: 被害者救済の必要性。
    • ハワイ州知事: ケネディ長官の反ワクチン的政策転換に懸念。
  • 情報公開: ジョンソン議員がHHSから入手した内部資料2,473ページを公開。当局者が心筋炎症例増加を把握しつつ警告を出さなかった経緯が記載。

5月22日:FDA、ファイザー・モデルナ製ワクチンの心筋炎リスク警告を強化

FDAがファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンについて、若年男性の心筋炎・心膜炎リスク警告文を拡充するよう指示。

  • 変更内容: リスク対象年齢を両社共通で「16~25歳の男性」に拡大。
  • 根拠:
    • 2023~24年版ワクチンで100万回接種あたり心筋炎8件の発生率(保険請求データ分析)。
    • ワクチン後数ヶ月経っても心機能異常が残存するケースの確認(最新臨床研究)。
  • 背景: 4月17日付書簡で通知。上院公聴会翌日の公表となり、リスク情報の透明化と安全対策強化のアピール。
  • 専門家の見解: 心筋炎は稀だが、一部でMRI上の心異常が長引く報告あり、慎重な経過観察が必要。

5月27日:RFK Jr.長官、子ども及び妊婦へのCOVIDワクチン推奨を撤回

ロバート・F・ケネディJr.米厚生長官(RFK Jr.)が、CDCのワクチン推奨スケジュールから健康な子ども・妊婦へのCOVID-19ワクチン勧告を除外すると発表。

  • ケネディ長官の声明:
    • 「昨年、バイデン政権は健康な子供にも追加接種を促したが、子供への繰り返しブースター戦略を支持する臨床データは皆無だった。その状況は今日で終わりだ」。
    • NIH所長、FDA長官代行も同席し、決定を支持。
  • 背景: ケネディ氏は長年ワクチン懐疑派。2025年トランプ政権でHHS長官に就任後、改革を推進。
  • 同時発表: 米国とアルゼンチンがWHOからの脱退を決定。「WHOのコロナ対応は重大な欠陥を露呈し、信頼を損なった」と理由説明。

5月29日:CDC公式声明なく医療現場混乱、専門家は推奨撤回に反発

子ども・妊婦へのワクチン推奨撤回決定に対し、CDC内部や医療界に動揺。トップダウン発表が先行し、ACIPの公式採決なし。

  • 医療現場の混乱: CDCからの明確な見解がなく、問い合わせ相次ぐ。ワクチン在庫発注見合わせの動きも。
  • 専門家・医療団体の反発:
    • IDSA会長: 「全く理解できない。妊娠中の感染は深刻な合併症リスク。ワクチンで防がないのは『狂気の沙汰』」。
    • 「健康な子供でも稀に重症化やロングCOVIDの可能性。予防接種中止は不適切」。
  • 懸念:
    • 接種対象基準が不明瞭化。
    • 推奨リストから外れると保険適用外となり、自己負担増で必要な接種を受けられない恐れ(AAPなど)。
    • ACIP元メンバー: 「政治的判断が先行。現場の信頼を損なう」。

🔍 その他の注目すべき動向(2025年5月)

CDCがワクチンと自閉症の関連性に関する大規模研究を開始へ

CDCが「ワクチンと自閉症スペクトラム障害(ASD)の因果関係」について大規模な疫学研究を開始計画を発表。過去の研究で関連は否定されているが、「国民の懸念に向き合う」と説明。

  • 専門家の反応(賛否両論):
    • 批判: 「関連は完全に否定済み。時間と資源の無駄」(米薬剤師会CEO)。
    • 慎重な期待: 「先入観なく行われれば、安全性再示し信頼回復につながる可能性」(ジェローム・アダムズ医師)。
    • 懸念: 「解決済み問題を再検証し、誤情報や不安を再燃させるリスク」。

米国で麻疹の大規模流行が懸念

2025年春、米テキサス州起点の麻疹アウトブレイクが全米拡大の兆し。3月時点で300例以上報告、死者も発生。

  • 背景: 一部地域でのワクチン忌避(MMRワクチン接種率低下)。
  • CDC当局者の呼びかけ: 「麻疹は極めて感染力が強い。集団免疫維持が不可欠。接種率向上に取り組む必要」。
  • 批判: CDC自らワクチンと自閉症の関連再調査に乗り出すなど「姿勢が一貫せず現場に混乱」。

RSウイルス(RSV)ワクチンの懸念

高齢者向け・妊婦向けに初承認されたRSVワクチンについて安全性懸念が一部報道。

  • GSK社の動き: 開発中のRSV妊婦用ワクチンの治験で早産リスクが認められ試験中止を発表(統計的有意差は不明、念のための措置と説明)。
  • 米国の状況: 高齢者用RSVワクチンは2023年承認、2024年冬に初接種。一部でギラン・バレー症候群との関連疑い報告あり、FDAとCDCがモニタリング継続中。
  • 専門家の指摘: 「新規ワクチン導入時は常に慎重な監視が必要」。反ワクチン派は批判材料に。